+弁護士便り+

本年もよろしくお願いします。

2007年という新しい1年がスタートしました。今年も自己満足的&マイペースなHPでまいります(キッパリで・・・すみません)。
さて,今年は十二支でいうと亥(猪)。猪といえば…猪突猛進でしょう,ということで,「猪突猛進で…」という年賀状がどのくらいあるかなと密かに思ってましたが,やはりというべきか,猪突猛進スタイルの年賀状はほとんど見当たりませんでした。皆さんはいかがでしたか。目をつぶって突進するがごとき単純にして大胆な行動は憚れる時代という,もしくは何が起きるかわからないという不安を感じつつ警戒が必要な時代であるという,そんな感覚が多少なりともあるのでしょうか。もっとも,そういう時代にきちんと目を見開きながら(目をつぶって突進するのでなく),前を(時には前も後ろも上下左右も)しっかりと見据えつつ自分を深めて着実に成長していかねばという真摯な姿勢があるからなのかも知れません。
少年時代に待ち望んでいた21世紀は,地球規模や国際規模で解決していかねばならない問題が山積している(ここ約5年という単位では,むしろ年々山積していく)時代でした。子供のころに「君たちはどう生きるか」というタイトルの図書を読んだことがありませんか。今,その本が手元にあるわけではなく,何が書いてあったのかが思い出せるわけではありませんが,少年の私にとっては道徳のレベルでしかなかったと思いますし,当時はそれでよかったのだとも思います。しかし,社会に出て,大人になった現在,“あなたたちはどう生きるか”と問われて,どれだけの人がどこまで(ごまかすことなく)答えることができるでしょうか。
年初にあたり,本年も,普段の仕事に責任をもって専心していくことは当然として,自分の生き方を検証しつつ深めていくためのsomethingがなければと思っています。

昨年は,国際問題に疎い私ですらも,中東情勢からイラン・北朝鮮核問題などに特に関心を持ちながら過ごしていました。私は日本にしても世界にしてもあくまでもまだまだ過渡的であり過程的な時代という基本的な認識を持っていますが,皆さんはいかがですか。第三の波(1980アルビン・トフラー)を読まれた方は多いと思います。日本も,科学技術の進展,コンピューター(インターネット)を中心としたIT社会,情報社会の波に晒されているわけですが,しかし,「欧米か」というギャグがはやったように(あまり関係ないか?),日本は欧でも米でもないわけであって,しっくりくる精神風土としては多分に農耕民族的であり,また実体経済(モノの生産と消費の経済)を中心にした戦後の産業社会の基盤は決して失われることなく長らえています。つまり,いわば第一の波から第三の波までを含めて,未だ重畳的な3つの波水に浸っているようにも思います(良し悪しではなく)。それでもまだ日本は,経済先行型の企業中心の社会でもあるため,経済合理性という観点から世界標準やグローバリズムを受入れる素質が十分にあるわけで,欧米的な座標軸での理解や予測に立てることが可能な範囲内にあるでしょう。しかし他方,世界に目を転じてみれば,9.11以降,イラク戦争を経て,更に昨年はイスラム世界を意識せざるを得ないニュースが幾つも見られたわけで,冷戦後の世界における文明の衝突(1996サミュエル・ハンチントン)に垣間見られたようなイスラム世界という欧米や日本とは異なった世界観や精神風土に支えられた座標軸は確かに厳然と存在していました。世界が丸ごと科学技術や企業社会によるリードを前提にしているというわけではありません。原理主義という考え方は,宗教一般のひとつの傾向として存在し,またテロを特定の民族や宗教と短絡的に結びつけることはできません。私たちの聞くイスラム世界は往々にして欧米経由であることも事実です。ともあれ,異なった座標軸の存在が対峙性を帯びて存在することは紛れもない現実でした。ある統計によれば2000年時点でイスラム教徒人口は12億7600余であり,世界人口に占める割合は約21%であり,2025年には約25%まで伸長する,つまり4人に1人の割合になるとのことです。2025年にはキリスト教徒の割合よりもイスラム教徒の割合が数的に優位に逆転するとの統計もあり,あくまでも予測とはいえ,これが21世紀の四半世紀が経過した時点で待っている現実です。実際には幾重にも複雑な異なる座標軸のなかで,様々に異なり変化する波に晒されながら,どのように自己を認識し,舵を取っていくのか,これは国家や社会としてはもちろん,自分という生活者個人のレベルにおいても日々の仕事や生活のなかで“どう生きるか”という大切な課題であろうと思います。

厳しい競争や闘争に晒されている日本社会のなかにあって,あくまでプラスアルファとしか捉えきれていない私の限界もありますが,それでもプラスアルファとしてでも,somethingを考えながら生活していくことがまずは大事なのかなと甘えつつ。

2007/01/11(Thu) 13:38:05 

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